トーベ・ヤンソン
(Tove Jansson)
ムーミンの生みの親
幼少期
トーベヤンソンは1914年、当時まだロシア帝国の自治領であったフィンランドのヘルシンキで、スウェーデン系フィンランド人の家庭に生まれました。父のヴィクトル・ヤンソン(Viktor Jansson)は彫刻家、母のシグネ・ハンマルステン・ヤンソン(Signe Hammarsten-Jansson)はグラフィックデザイナーでした。
ヤンソン一家はヘルシンキ以外に、群島地域ペッリンゲ(Pellinki)でも多くの夏を過ごしました。彼女は14歳で初めての小説「サラとペッレと水の精のタコ/Sara och Pelle och näckens bläckfiskar」を書き上げました。また、ペル・ウーロフ(Per Olov)とラルス(Lars)という二人の弟がいます。
学業
トーベは1930年から1938年の間、ヘルシンキに加え、スウェーデンやパリなど海外にも行き美術を学びました。初めての個展は1943年、第二次世界大戦の最中に開催されました。
戦時中は、ガルム(Garm)と呼ばれる雑誌のヘッドデザイナーとして、表紙画やその他のイラストを担当していました。ガルムは政治風刺を中心とする雑誌として知られ、彼女はこのイラストの仕事を楽しんでいたようです。
最初は雑誌の挿し絵だったものが、のちにムーミンへと変化を遂げます。1923年に始まったガルムは1953年に廃刊となりました。ムーミンの最初の小説は1945年に出版されています。小説の名前は「小さなトロールと大きな洪水/Moomins and the Great Flood」と呼ばれ、原題であるスウェーデン語では『Småtrollen och den stora översvämningen』という名前がついています。
人気のキャラクター、ニョロニョロはこの最初の小説ですでにひっそりとデビューを果たしていたのをご存じでしたか。
トーベとムーミン
最初の小説のあとトーベはさらに8冊のムーミンの物語を書き上げました。ムーミンの小説は計9冊あります。
- 小さなトロールと大きな洪水/
The Moomins and the Great Flood - ムーミン谷の彗星/
Comet in Moominland - たのしいムーミン一家/
Finn Family Moomintroll - ムーミンパパ海へいく/
The Exploits of Moominpappa - ムーミン谷の夏まつり/
Moominsummer Madness - ムーミン谷の冬/
Moominland Midwinter - たのしいムーミン一家/
Tales From Moominvalley - ムーミンパパ海へいく/
Moominpappa at Sea - ムーミン谷の十一月/
Moominvalley in November
また、トーベは小説の他にも絵本やコミックスも手掛けました。
ムーミンテレビシリーズ
書籍から生まれたムーミンですが、テレビを通して慣れ親しんだ人の方が多いのではないでしょうか。一番人気のテレビアニメは日本で制作され、1990年から1992年の間放映されていました。その他にもムーミンのテレビシリーズが存在しているのをご存じでしょうか。
ムーミンのテレビシリーズ一覧:
- The Moomin Family[1959-1960](ドイツ)
- Moomin/ムーミン[1969](日本)
- Moomintroll[1969](スウェーデン)
- New Moomin/新ムーミン[1972](日本)
- Moominvalley[1973](スウェーデン)
- The Moomins[1977-1982](ポーランド)
- Moomin-troll[1978](ソビエト連邦)
- The Fillyjonk Who Believed in Disasters[1978](フィンランド)
- Who Will Comfort Toffle? [1980](スウェーデン)
- Magician’s Hat[1980-1983](ソビエト連邦)
- Moominvalley[1990-1991](スウェーデン)
- Moomin/楽しいムーミン一家[1990-1992](日本)
- The Book About Moomin, Mymble and Little My[1993](スウェーデン)
- From the Life of the Little Trolls[2008](アルメニア)
- Moominvalley/ムーミン谷のなかまたち[2019](フィンランド&イギリス)
なんと15作品もあります!ほとんど見たことない人ばかりではないでしょうか。そしてこんなにたくさんの国がムーミンのテレビシリーズを制作していたことも驚きです。ムーミントリビアとして覚えておくべき情報ですね。
トーベ・ヤンソンのレガシー
2020年にはトーベ・ヤンソン自身の人生を描いた映画が制作されたことをご存じですか。作品内では女優のアルマ・ポウスティ(Alma Pöysti)がトーベを演じています。
また、世界に2つムーミンのテーマパークが存在します。一つはフィンランドのナーンタリにあるムーミンワールド、もう一つは日本の埼玉にあるムーミンバレーパークです。テーマパークの他にも、ムーミンカフェ、氷の洞窟、美術館、そしてムーミンショップなどがあります。
ムーミンは1990年台の日本のムーミンアニメをきっかけにムーミンブームとして大きく人気を広げました。このタイミングでフィンランドのアラビア(Arabia)でティーマと呼ばれる定番マグにムーミンをデザインしたムーミンマグが生まれています。また近年ムーミン人気はアメリカにも広がりつつあります。そして2025年はムーミンの小説が初めて出版されてから80年を記念する周年でもあります。
ご存じでしたか。あのウォルトディズニーはかつてムーミンを買収しようとしたことがあり、ムーミンサイドはそのオファーを辞退しています。